ジャイアントパンダの剝製

最近ではジャイアントパンダがクマの仲間であるという話をしても、さほどおかしく思われなくなってきた。ジャイアントパンダはクマである。体つきを見たらわかるではないか。あれほどクマっぽい生き物がほかにどこにいる?

ジャイアントパンダをクマっぽくしていない性質の一つが、ササやタケといった硬くて食べにくい物を主食としている点であろう。皆さんも一度タケをかんでみたらよい。どれくらい大変なものを主食にしているかがよくわかる。タケノコは僕も大好きだが、タケを食べようとは思わない。ただし学生の頃にササを天ぷらにして食べたことがあるが、これはパリパリとなかなかよい食感であったことを付け加えておく。

マレーグマやヒグマなども展示している

さて、クマを含む食肉類は、食べ物に非常に多様化したグループなのである。純肉食者のネコ・ハイエナ・イタチ、雑食傾向が強い肉食のイヌ、ほとんど雑食というよりは果実が大好きなジャコウネコ・アライグマ、昆虫食が主であるマングース等々。

ジャイアントパンダを含むクマ科は基本的に雑食性なのだが、この種のようなほぼ完全な草食性のものも誕生した。ほかにもナマケグマは昆虫食に偏っており、よく頭蓋をみると、一番前の切歯(前歯)がなくて、隙間が空いている。ここから舌を出し入れしてアリなどを食べるというのだが、本当かどうかはよく知らない。

マレーグマも昆虫食・果実食といった性質があり、臼歯の発達は弱い。熱帯に生息するこれら2種は、熱帯特有の昆虫の膨大な資源量に負って生活できているような印象がある。熱帯では何らかのシロアリ食い哺乳類が分布する。アリクイ・センザンコウ・ツチブタ等々といったところである。クマが虫食いになって何が悪い?

日本でおなじみツキノワグマとアメリカグマという2種はニュースでは人里に現れるたびに「危険生物」的な扱いがされるが、本来はドングリなどの果実を多く食べる雑食性である。北海道のヒグマでさえ、歯の形態を見るととても肉を切り裂いて食べるといったネコ科の特徴は持っていない。たぶんクマ科の食性については誤解が多いのだろうな。クマは世界に8種しかいないが、どれも特定の食べ物に特化していて、多様なグループなのである。