「哺乳類の大行進」には小さな哺乳類もたくさん紹介している

最大の哺乳類、シロナガスクジラ。最大の陸生哺乳類、アフリカゾウ。

このあたりはすんなりと子供たちからも回答が出てきそうだが、最小のものとなるとなかなかよい回答が返ってこない。僕のような小哺乳類の研究者からすると、これは悲しいことである。

人は大きいものに魅せられるようである。展示会場でもやはり人気はマッコウクジラだろうし、僕がちょっと苦労して作製したチビトガリネズミに感動する人は、ごくわずかであろう。

大型化は環境次第で簡単に達成できるものかもしれない。例えば重力を無視して生きることができれば、哺乳類はゾウよりもクジラの方が大きくなれる。様々な物理学的な力の影響で生き物の最大サイズはおよそ決まっている。大きくなるためにはそれほど苦労はないのではないかと僕には思える。

大きくなれば敵から身を守る手段にもなるし、寒い地域に分布するものなら、体温を維持するのもかなり楽になる。これは100年以上も前にベルクマンという人が言った通りなのである。

キティブタバナコウモリ頭骨

では小さいということの困難さはいかに?哺乳類の大小広しといえども、基本構成となる細胞のサイズはそれほど違うわけではない。大きい動物はたくさんの細胞でできている。最大の陸生哺乳類であるアフリカゾウの頭骨は長さ1mほど。

一方で最小の哺乳類であるチビトガリネズミやキティブタバナコウモリの頭骨は1㎝程度に過ぎない。頭骨長にして100倍、容積にして1万倍の違いがあることになるわけだが、キティブタバナコウモリはこの小さい頭骨に収納された脳で、適切な時に超音波を発して、反響した音声を解析し、それがエサであると出力されれば口で捕食と、我々ヒトと変わらぬような生存の能力を備えているのである。

コンピューターでも大型のものから小型化するのに、各社争って開発が進められている。彼らの脳は超スーパーウルトラ回路だ。小型哺乳類の体は、恐ろしくよくできているのである。