スナメリ(標本)

スナメリは、クチバシ(吻)や背ビレがないのでイルカらしくないが、アジアの河川や沿岸域に分布する体長2mほどの小型のハクジラ類で、ネズミイルカ科に属する。ネズミイルカ科の歯はその形が特徴的で、先端が鈍なスプーン型を呈す。体色は淡灰色。新生児は体長80cmほど。日本では仙台湾から東京湾、伊勢・三河湾、瀬戸内海、大村湾から有明海と五つの地域個体群がいる。

愛らしい顔つきから、海や地域のマスコットに使われることがある。岸近くの浅い海にすんでいるので、ヒト社会の影響を受けやすく、ストランディングする鯨種の上位を占める。国内の多くの水族館でも見ることができる。口から輪っか状の泡(バブルリング)を出すパフォーマンスで人気がある。

「スナメリ」 ©国立科学博物館/画・渡邊芳美

スナメリのタイプ標本はパリの自然史博物館に収蔵されている。日本動物誌「Fauna Japonica」には、シーボルトが長崎周辺から持ち帰ったのであろうライデン(Leiden)博物館に収蔵されている日本産の個体が、Delphinus melasとして記載されていたが、現在ではNeophocaena asiaorientalis sunameriという亜種のタイプ標本として重要である。