会場で展示されているオウギハクジラの骨格標本(右から2番目の奥)

日本周辺にいるハクジラ亜目アカボウクジラ科オウギハクジラ属は4種いる。このオウギハクジラ、イチョウハクジラ、ハッブスオウギハクジラ、コブハクジラである。オウギハクジラは日本海側、その他3種は太平洋側に生息する。いずれもあまりよく知られていない謎のクジラたちである。

「オウギハクジラ オス」 ©国立科学博物館/画・渡邊芳美

オウギハクジラ属の歯は、下顎の左右に一対のみで、成熟したオスしか生え出ない。歯の生えていない若い個体も、メスもふつうに食べ、生きている。つまり、歯は食べることとは関係がない。主として中層から深層のイカを食べる。オウギハクジラ属を含むアカボウクジラ科の種では喉元に「八の字」型の溝がある。この部分を膨らませてエサ生物を吸い込む、「吸い込み摂餌」をすると考えられている。イカを食べる種では歯が失われる好例である。

「オウギハクジラ メス」 ©国立科学博物館/画・渡邊芳美

座礁することがよくあり、彼らを研究することで少しずつ色々なことが解明されてきた。特徴的な歯が見える成熟したオスでは種同定が容易だが、メスや若い個体では外観からの種同定はできないことが多い。